今回は私たちが参加させていただいている「黄金の島再生プロジェクト」についてご紹介します。
全国へと販路を広げるとびしま柑橘倶楽部ですが、実は同時に販売するためのレモンの生産量を保ち、増やしていくことが大きな課題となっています。国産レモンの生産量で全国1位を誇る広島県内で、その約50%を出荷する一大産地はとびしま海道にある大崎下島。今のところ右肩上がりに需要と生産量を伸ばしている一方で、柑橘農家の平均年齢は75歳を超え、畑の面積は最盛期の3分の1程度まで減少していると言われています。
そんな状況を憂い、島の未来について考えるとびしま柑橘倶楽部は、2017年、“島中がレモン色に輝く日よ再び。広島に眠る耕作放棄地を再生へ!”と題し、目標金額300万円のクラウドファンディングに挑みました。97人の支援者が集まり、結果は見事成立。支援金を得て、使われなくなった畑を蘇らせ、後継者を見つけるというミッションに取り組んでいます。
耕作放棄された畑には、背丈をゆうに超える雑草が生い茂ります。時には重機も使いながら手を入れ、再び苗木を植えられる状態まで再生させていく作業はとても骨の折れるもの。“島の宝である、柑橘やレモンを大切に繋げていきたい”という想いに共感し集まった学生・企業・ボランティアの方と一体となって、今も整備が進められています。
整備を経て、ようやく苗木を植えられる状態になりますが、レモンの木は、収穫できるほどたくさんの実をつけるようになるまでに5〜10年ほどの年月を要します。今75歳の農家の方は、10年後は85歳。多くの方が畑から離れるタイミングになります。だからこそ、経験豊かな農家の方々が現役で畑にいる今、畑を再生させ、そのノウハウを後継者たちがしっかり受け継いでいく必要があるのです。
放っておけば誰かが耕作放棄地を整え、待っていれば後継者に名乗りを上げる人が集まってくるものではありません。 島の宝であるレモンを守りたい、島に暮らす人々の生活や訪れる人の楽しさをもっと良いものにしていきたい。とびしま柑橘倶楽部のプロジェクトからは、そんな想いを持つ人が集まり、同じ目標に向かって進んでいくパワーの強さと明るさを感じました。
今回のプロジェクトは、島の人々が一つになり島を盛り上げていくストーリーの序章だと、私たちは考えています。耕作放棄地を再生することで、レモンの生産量も上がり、より多くのレモン加工品を世に送り出すことができます。
そして、自然に囲まれ美しく輝く島には、観光を目的とした人々が訪れます。さらに、島を訪れその魅力に魅了された人々が島に移住し、島で起業することも考えられます。
一次産業が二次産業三次産業の川上に存在すると考えれば、日本一のレモン農家が枯渇すれば川下の産業も衰退すると考えられるのです。だからこそ、この島のみかんやレモンは農家だけでなく地域の加工業者、小売店、観光業者とざまざまな方を豊かにする宝です。
この宝を守るため少しでも多くの耕作放棄地に黄金の実を育てたいと、私たちは強く思っています。